重要文化財 八日市地方遺跡出土品

更新日:2024年06月25日

重要文化財 八日市地方遺跡出土品
壺の形や匙の形など、大小様々な形をした八日地方遺跡出土品が並べて置かれている写真

(撮影:小川忠博)

重要文化財 八日市地方遺跡出土品とは

 八日市地方遺跡は、小松市日の出町・八日市町地方・こまつの杜地内(現在のJR小松駅東側一帯の約15ヘクタール)に所在し、昭和5年(1930年)に2個の磨製石斧の出土により発見された、北陸地方を代表する弥生時代中期の大規模な集落遺跡です。集落は、標高約1.5メートルの沖積平野に立地し、掘立柱建物、平地式建物、方形周溝墓、多重の環濠などが展開することがわかっています。

埋蔵文化財発掘調査

 小松市教育委員会によって、平成5年度(1993年)~平成12年度(2000年)には小松駅東土地区画整理事業に伴う調査(調査面積32,556平方メートル)が、平成18年度(2006年)には共同住宅建設に係る調査(調査面積1,300平方メートル)が実施されました。以後も開発行為等に伴いその都度調査が行われています。
 近年では北陸新幹線延伸に伴い、(公益財団法人)石川県埋蔵文化財センターが発掘調査を実施し、新たな発見が相次ぎました。

八日市地方遺跡の出土品

 出土品は、土器・土製品(コンテナバット約4,300箱分)、木器・木製品(約35,000点)、石器・石製品(コンテナバット約300箱分)、銅鏃、骨製品で構成されています。
 土器では、在地の小松式土器に加えて、東海地方の大地式土器・貝田町式土器、信州地方の栗林式土器、さらには近江や瀬戸内地方などからの搬入品ないし模倣品が含まれており、広範な地域間交流をよく示しています。
 生産関連で特筆されるのは、ヒスイ製勾玉と碧玉製管玉に関連する資料です。とりわけ、碧玉製管玉の製作に関しては、石鋸や石針といった製作道具も出土しており、管玉生産の実態を復元するうえで重要な資料です。また、木製の鍬・鋤・容器類についても製作工程を如実に示す良好な資料を含みます。
 鳥形・魚形・武器形など木製祭祀具が豊富に出土しているとともに、銅鐸形土製品及び小型模造土器なども認められ、多様な形態の祭祀具を用いていた様子が窺えます。方形周溝墓からは祭祀用の土器や碧玉製管玉が出土しています。
 これら出土品のうち1,020点が、平成23年6月27日に重要文化財に指定されました。

普及冊子

代表的な重要文化財指定品の紹介

縞模様に色がついており、口が開いているように見える魚型木製品を撮った写真

魚形木製品 (さかながたもくせいひん)

【撮影:牛嶋茂】

刃の部分が黒くなっている把付磨製石剣をアップで写した写真

把付磨製石剣 (つかつきませいせっけん)

【撮影:牛嶋茂】

人の胴体部分ような形をした人形土製品をアップで写した写真

人形土製品 (ひとがたどせいひん)

ヒビが入っている壺の形をした土器に絵が描かれている絵画土器をアップで写した写真

シカと狩人が描かれた絵画土器 (しかとかりゅうどがえがかれたかいがどき)

19個ほどの大小様々な形をした木製の容器が並べて置かれている写真

木製容器・成品と未成品 (もくせいようき・せいひんとみせいひん)

末広がりの形をして、下の手前部分には半円形の穴、上の方には人のような模様がデザインされている人面付土器をアップで写した写真

人面付土器 (じんめんつきどき)

長方形の板の両端には小さい穴が数箇所開いており、板の左側には立っている人の様な模様が入っている人物陽刻意匠板をアップで写した写真

人物陽刻意匠板 (じんぶつようこくいしょうばん)

すくう部分と柄の先端部分が楕円形になっている匙をアップで写した写真

匙 (さじ)

ごつごつしたものや、角ばったもの、細長いものなど、大小様々な道具が並べて置かれている写真

碧玉製管玉工程資料と道具 (へきぎょくせいくだたまこうていしりょうとどうぐ)
【撮影:小川忠博】

透明がかった薄茶色で上部に小さい穴が開いているメノウ製垂飾をアップで写した写真

メノウ製垂飾 (めのうせいすいしょく)

水色で、左側が波打った形、右側が丸くふくらんだ形をしており、中央あたりに穴が開いている獣形勾玉をアップで写した写真

獣形勾玉 (じゅうけいまがたま)

木製のようなもので、円柱状の中程を手で握られる位の太さに削ったものが2本並べて置かれている竪杵の写真

竪杵(たてぎね)
【撮影:寿福滋】
(小学館提供)

木製のような素材で、平らな形のものや素材を組み合わせて垂直に作られた鳥形が並べて置かれている写真

鳥形 (とりがた)
【撮影:小川忠博】

先端部分が尖った形をしている武器形と磨製石剣が合計6本横並びに置かれている写真

武器形と磨製石剣 (ぶきがたとませいせっけん)
【撮影:小川忠博】

立体型に作られた鳥のようなものや、扁平な筒形のようなもの、分銅の形をしたものなど、大小様々な形に作られた土製品が並べて置かれている写真

土製品(人形・鳥形・分銅形・銅鐸形)
(どせいひん(ひとがた・とりがた・ふんどうがた・どうたくがた))
【撮影:小川忠博】

石製で斧のような形をしたものや、中心部分に穴が開けられた円盤の形をしたもの、先端部分が尖っているものなど、大小様々な道具が並べて置かれている写真

石斧類・石製円盤 (せきふるい・せきせいえんばん)
【撮影:小川忠博】

重要文化財指定品の紹介

出土品リスト凡例

  • 通番号は、重要文化財の指定番号を指す
  • IDは、出土品整理番号を指す
  • 報告書記載番号の記載は、(報告書略名)-(図版番号)-(個別図版番号)を示す
  • 報告書名は、以下の3冊を指す
    • I は『八日市地方遺跡 I 』2003年発行
    • IIIは『八日市地方遺跡 III 』2008年発行
    • F報告2は『まいぶん講座フォーラム報告2 弥生時代の北陸を探る-考証八日市地方遺跡とは-』
       
      2009年発行
  • 長さ・幅・厚さの数値はすべて現存(最大)値を示す

(注意)遺物写真の無断転載・無断改変を禁じます。写真を利用する場合は小松市埋蔵文化財センターへお問い合わせの上、許可を受けてください。

重要文化財「八日市地方遺跡出土品」修理事業

重要文化財として指定された八日市地方遺跡出土品には様々な状態の資料があり、出土から時間を経るなかで劣化が進み、破損等のリスクを持つ資料等も含まれています。

こうした資料を安全に保管し、また広く公開してその価値を発信していくために、小松市では令和3年度より文化庁の補助金交付を受けて、修理が必要な資料の修理をおこなっています。

遺跡紹介ビデオ

過去の展示図録

この記事に関するお問い合わせ先

埋蔵文化財センター

〒923-0075
小松市原町ト77番地8
電話番号: 0761-47-5713 ファクス:0761-47-5715

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