尾小屋鉱山の仕事をもう少し詳しく
尾小屋鉱山は、採鉱、選鉱、製錬を行った日本有数の銅山です。産銅量は、足尾や日立などの大規模銅山に続く規模を誇り、大正9年(1920年)には8位でした。
本格的な採掘は明治14年(1881年)からで、昭和30年頃(1955年頃)に最盛期を迎え、その頃の粗銅生産量は年間2,000トンを超えていました。
ここでは、鉱山の仕事(=鉱業)に関することをご紹介します。
鉱業について
「鉱業」とは、鉱石や石炭などの地下資源を取り出す産業を指します。「鉱業法」では、「鉱物の試掘、採掘及びこれに附属する選鉱、製錬その他の事業」と定義されています。
鉱山では一般的に、金、銀、銅、鉄などの金属を含む鉱脈や鉱石を採掘し、選鉱し、製錬するという仕事があります。
鉱業は、英語でminingで、読みは「マイニング」です。鉱山はmineで、読みは「マイン」です。そのため、尾小屋鉱山資料館に附属する坑道を使った展示施設は「尾小屋マインロード」と名付けられています。
「採鉱(さいこう)」「選鉱(せんこう)」「製錬(せいれん)」の意味は、それぞれ、次のとおりです。
- 採鉱=鉱山から鉱石(粗鉱(そこう))を掘り出すこと。
- 選鉱=粗鉱から不用な鉱物を取り除いて精鉱(せいこう)にすること。
- 製錬=精鉱から目的とするもの(金属など)を抽出すること。
鉱石
黄銅鉱
銅をとるための鉱石の一種。尾小屋鉱山で最も多く産出された鉱石です。
人間の経済活動にとって有用な鉱物を鉱石と呼びます。
尾小屋鉱山では、黄銅鉱など、銅になる鉱石を製錬(せいれん)して、銅の含有率約98パーセントの粗銅(そどう)を生産しました。銅以外の鉛・亜鉛・硫化鉄については、選鉱まで行って、精鉱を関連会社へ送っていました。
尾小屋鉱山で採れた代表的な鉱石をご紹介します。
方鉛鉱
鉛をとるための鉱石
閃亜鉛鉱
亜鉛をとるための鉱石。尾小屋鉱山では方鉛鉱よりも多くの量が採れました。
硫化鉄鉱
硫酸や農業用化学肥料の原料の元になる鉱石
採鉱
採鉱とは、鉱山などから鉱石を採取する作業です。
その作業は、「坑内掘り」と「露天掘り」に大別され、尾小屋鉱山は、坑内掘りです。
採鉱の様子(江戸時代)(『鼓銅図録』国立公文書館)
坑内の削岩の様子(昭和)
選鉱
選鉱とは、有用鉱物を無価値成分から分離し回収する操作のことです。わかりやすく言うと、採掘した鉱石を有用鉱物と不用鉱物とに分ける作業です。
最初期の選鉱は坑内で行われましたが、明治21年(1888年)に手選場が設けられて以降、選鉱場内で選鉱が行われました。時代とともに機械化や新しい技術導入が進められました。
大正14年頃の選鉱場(明治27年完成)
手選鉱の様子(明治34年廃止)
昭和10年頃の選鉱場(昭和16年1月焼失)
- 明治21年(1888年)、岩底谷に手選場が完成。
- 明治27年(1894年)、瀬波戸に機械式の選鉱場が完成。
- 明治44年(1911年)波佐羅に選鉱場新設。
- 大正6年(1917年)、本山選鉱場完成。
- 昭和7年(1932年)、本山と波佐羅の選鉱場合併。
- 昭和16年(1941年)1月、選鉱場焼失。
- 昭和17年(1942年)、新選鉱場再建。
- 昭和46年(1971年)、選鉱中止、閉山。
選鉱場(昭和16年9月上棟、17年9月稼働開始)
選鉱場棟札(昭和16年9月5日)
製錬
製錬は、鉱石から金属を取り出すことです。
尾小屋鉱山では、国内の大規模な鉱山が転炉に切り替えるなか、江戸時代に広く使われていた方式である真吹き法による製錬炉―真吹炉―を閉山するまでの間、改良しながら使っていました。言い換えれば、「尾小屋鉱山には、現役で稼働した最後の真吹炉があった」ということになります。
なお、製錬の際に生じる不用物をカラミと呼びますが、このカラミの一部を鋳型に入れて「カラミ煉瓦」として、斜面の擁壁や、建物の基礎や壁などに用いました。尾小屋鉱山では、「小型煉瓦」「大型煉瓦」「六角型煉瓦」の3種類を作り、中でも六角柱の形をしたものは、他の鉱山では見られない尾小屋独特のものとして知られています。明治43年(1910年)の記録によると、6人の職人が3交代で一昼夜あたり500個前後を鋳造したことがわかっています。
真吹きの様子(江戸時代)(『鼓銅図録』国立公文書館)
昭和34-35年頃までの真吹炉の様子
アノード。昭和35年(1960)年頃、銅の含有率が98.33%の製品を出荷していました。
製錬により有用な成分を取り出した後に出る不用物(カラミ)を鋳型に入れて作ったカラミ煉瓦
関連施設
基本情報
住所 | 石川県小松市尾小屋町カ1-1 |
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電話 | 0761-67-1122 |
休館日 | 水曜日(祝日の場合、開館)、祝日の翌日(土曜日・日曜日・祝日は開館) 12月1日~翌年3月24日(冬期休館) |
開館時間 |
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
入館料 |
こまつミュージアム・パス(10日券、年間券)が使えます。 (注意)上記入館料で石川県立尾小屋鉱山資料館、尾小屋マインロードの両方を観覧できます。 マインロードは、一部不通区間があります。 |
交通 |
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駐車場 | 普通車約20台(大型バス駐車可) |
その他
この記事に関するお問い合わせ
尾小屋鉱山資料館
〒923-0172 石川県小松市尾小屋町カ1-1
電話・ファクシミリ 0761-67-1122
更新日:2024年04月26日