八里向山F7号墳主体部出土資料一括

第一主体部出土鉄製品集合
八里向山遺跡群は、旧石器時代から中世に渡る10遺跡(A~J遺跡)から構成される大規模な複合遺跡で、住宅団地造成に伴い発掘調査がおこなわれました。
古墳を中心とするF遺跡からはF1~F10までの10基の円墳が確認されました。墳丘規模は5メートル~13メートルと小規模な古墳で構成され、古墳時代中期後葉(5世紀後半)の比較的短期間に築造された古墳群であると考えられます。
F7号墳は木棺を土中に直に埋葬した主体部(埋葬施設)が二つ確認されています。墳丘の流出とともにそれぞれの主体部も大きな損傷を受けていましたが、第一主体部から鉄剣や鉄刀とともに、内部に大量の農工具(曲刃鎌1、鍬・鋤先1、鉄斧2、ヤリガンナ1、鑿(のみ)1、鉄鏃34点)が納められた、短甲が発見されました。この短甲は長方形の鉄板を鋲で地金(フレーム)に留める横矧板鋲留短甲(よこはぎいたびょうどめたんこう)と呼ばれる形式で、表面には黒漆が塗られていました。こうした武器武具に伴う農工具は、畿内での出土例から軍事活動の際の行軍に必要な装備であると考えられており、ヤマト王権の軍事組織に関与する新興勢力の台頭が窺えます。
報告書/小松市教育委員会2004『八里向山遺跡群』

上空から見た八里向山F古墳群(調査当時)

F7号墳の主体部(下が第一主体部)

第一主体部の鉄製品出土状況

上/出土した短甲、下/短甲内の鉄製品

第一主体部の埋葬イメージ

復元短甲
この記事に関するお問い合わせ先
埋蔵文化財センター
〒923-0075
小松市原町ト77番地8
電話番号: 0761-47-5713 ファクス:0761-47-5715
更新日:2023年12月01日