基本条例について

更新日:2023年12月01日

1 条例の必要性

(1)課題

現実には、施策の意思決定の場に女性の参画が十分とは言えず、男女間の差がまだまだ多い。少子高齢化など社会情勢が変化している中で、「男は仕事、女は家庭」といったような性別による固定的役割分担意識が根強く、慣習・慣行による弊害や偏見も数多く残っている。
また、女性のみならず男性の生き方にも影響を及ぼし、これらの問題は、未だ社会の中で当然のことのように受け止められている。21世紀は、性別による固定的役割分担にとらわれず、家庭、職場、学校、地域で、それぞれが能力と個性を発揮できる社会づくりが必要である。

(2)現状

(家庭では)

  • 家事、育児、介護は女性がほとんど担っている。
  • 三世代同居の場合、女性の社会参加や、男性の家事参加が制約されやすい。
  • 進学や就職など、進路や生き方にも性別による固定的な考えがまだまだ根強く残っている。

(職場では)

  • 採用、賃金、昇進、昇給、研修機会など性別による格差がまだある。
  • 男性が、家事、育児、介護などを理由とする休暇を取りにくい。
  • 男性は長時間労働や残業などにより、仕事と家庭活動の両立が難しい。
  • 男性は主、女性は補助的な仕事という傾向があり、女性の登用が少ない。

(地域では)

  • 町や公民館、PTAなどの役員は男性という慣例で女性の役員は極めて少ない。
  • PTAなどの実務は女性で、会長は男性がほとんど占めている。
  • 会合で女性の参加が少なく、発言しにくい(地域の慣例、夫の無理解)
  • ボランティアなど地域活動への男性の参加が少ない。

このように、様々な面において、男女共同参画が十分に実現されているとは言い難い。こうした状況を踏まえ、今後更に、男女共同参画の一層の推進を図り、男女がともに対等な立場で参画し責任も担う社会の実現を目指して、総合的、計画的に推進する必要がある。

2.条例制定の基本的考え

現状や課題を踏まえ、男女共同参画社会の実現に向けて、一層の推進を図るために、施策を総合的かつ計画的に展開する際の根拠となるものとして、条例の制定が必要である。

(1)基本法においては

  • 男女共同参画社会基本法において「男女共同参画社会の形成」が各自治体行政の課題として定められた。
  • 地方自治体は、国の定める促進施策に、その地域で対応するとともに、その地域の特性に応じた施策で対応する責務を負った。
  • 男女共同参画社会の推進は、実際には地方自治体なしには実現できない。

(2)基本的考え

  • 市のあらゆる施策に男女共同参画の視点を反映させる。
  • 基本理念や責務を明確化し、市、市民、事業者等が共通の認識のもとに、多くの分野で総合性を持たせた推進を図る。
  • 基本法で定める、地方公共団体の責務の積極的遂行。

3 条例制定の効果

  • 条例制定は、「男女共同参画宣言都市」として、男女共同参画社会の形成の促進に向けた本市の強い意思表明である。
  • 条例制定を通じて、男女共同参画に対する市民の意識高揚と理解を深めることができる。
  • 男女共同参画社会の形成の促進は、行政のみで進められるものではなく、条例を制定することにより、男女共同参画社会の形成に向けた市、市民、事業者等の責務を明確にし、一体となった取組みができる。
  • 条例を制定することにより、市が実施する様々な分野の施策に男女共同参画の視点を反映させることができる。
  • 市が実施している男女共同参画に関する施策を条例のもとに体系づけることができる。

基本法 - 基本条例 - 基本計画 - 行動計画

4 本市の条例の特徴

条例は全13条

市、市民、事業者等が第4条から第6条までの責務を果たす上で基本となる考えである。

  1. 男女の人権の尊重
  2. 社会における制度又は慣行についての配慮
  3. 政策、方針決定への共同参画
  4. 家庭生活における活動と他の活動の両立
  5. 国際的協調

基本理念(第3条)

市、市民、事業者等が第4条から第6条までの責務を果たす上で基本となる考えである。

  1. 男女の人権の尊重
  2. 社会における制度又は慣行についての配慮
  3. 政策、方針決定への共同参画
  4. 家庭生活における活動と他の活動の両立
  5. 国際的協調

責務(第4-6条)

男女共同参画社会を形成する上で、市及び市民とともに事業者等が行う取組みの果たす役割が大きく、それぞれの連携が欠かせないことから、それぞれの責務を明記している。

  1. 市の責務
  2. 市民の責務
  3. 事業者等の責務

男女共同参画の促進(第7条)

  • 事業者等の自主的な活動は、男女共同参画社会の形成の大きな推進力となる。
  • 条例に明記することで、市民意欲の喚起につながる。また、情報の提供、学習や研修機会の提供、他団体等との連携など支援の根拠となる。
  • 事業を行う個人、法人、その他の団体等に対して、積極的な取組みを求めることができるとし、全市的かつ効果的に取組むことを可能としている。

性別による権利侵害の禁止(第8条)

  • 男女共同参画社会において、人権の尊重は重要な目的であり、個人としての人権が擁護される社会の形成を図っていきたい。
  • 「何人も」(小松市におけるすべての人を対象におき、女性に限らない。)
  • 「あらゆる場所」(小松市におけるすべての場を対象においている。)
  • 「夫婦間を含む男女間」(恋人やパートナーも対象においている。)
  1. 性別を理由とする権利侵害、差別的取扱いの禁止
  2. セクシュアル・ハラスメントの禁止
  3. 性別による暴力、虐待の禁止

条例にこれら禁止事項を明記し、表面化しにくい問題を明らかにし、市民意識と理解を深め防止に努めるとともに、抑止力を期待している。

男女共同参画推進基本計画の策定(第9条)

基本計画策定を主体的に義務づけをし、条例を根拠にもち、基本理念にのっとり長期的展望に基づいて計画的に進めていくことを明確に打ち出した。

市民相談等(第10条)

男女共同参画に関する相談等に、関係機関等との連携を図ることを明記し、「相談しやすい環境づくり」と、被害者の支援につながる助言指導等により具体的解決や防止対策に努める。

施策の推進体制の整備(第11条)

施策の総合的な企画調整及び推進を図るため、条例を根拠に体制の強化を図る。

男女共同参画推進委員会(第12条)

男女共同参画推進委員会を設置し、施策の充実とその実効を図るため体制の強化を目指す。

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