令和7年度受賞者の事績
岩谷 久氏
岩谷氏は、両親ともに茶道の指導者であったことから、幼少時代から自然と茶に触れ、小学生の頃には小松天満宮で毎月開かれる茶会「能和会(現:微妙会)」でお運びなどに携わり、12歳で本格的に茶道を学び始めました。高校卒業後は、利休井戸が残る京都・北野の由緒ある西方尼寺において1年間の厳しい修行を積み、帰郷後から今日に至るまで、裏千家流茶道の指導者として多くの弟子に作法はもとより茶の魅力を伝えています。
平成2年に裏千家淡交会石川南支部が設立されて以来、二十数年にわたり副幹事長として今日の南支部の礎を築いてこられました。そして、幹事長を務めていた平成28年には、北陸信越地区大会が小松で開催され、10支部から1,300人余りが参加し、石川南支部の結束力による盛況ぶりが坐忘斎御家元からも称賛されるなど、氏の心に残る一大行事となりました。現在は、石川南支部参与として後進の相談役を担っています。
平成9年開庵の「仙叟屋敷ならびに玄庵」については、千玄室氏(十五代家元)による寄贈にあたり、地鎮祭及び棟上げ式から完成まで立ち合い、出来上がるまでが日々楽しみだったと語ります。令和6年からは茶室の運営委員会委員長として堅実な運営に携わり、茶室の深い趣とともに訪れる多くの人を迎えています。
氏は、小松裏千家茶道会会長や小松市茶道協会代表を務めるとともに、大正時代に始まり現在も毎月8日に開催されている微妙会の代表など重職を歴任し、小松市における裏千家茶道の牽引者として寄与してきました。また、今年で27回目を数える小松市民茶会の開催に実行委員会委員長として尽力し、令和5年の国民文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」では、「小松九谷茶会」の3流派開催を取り仕切るなど、茶道を通した伝統文化普及活動に努めています。
「茶の魅力は、老若男女関係なく、その場の人々が心一つに、ゆったりした気持ちと優しい言葉で和むもの、それが一服のお茶の役目」と氏は語ります。それは、「一椀からピースフルネスを」という千玄室氏が一椀のお茶に込めた平和理念にも通じています。「何をするにも楽しく」をモットーに、お茶を通した「一期一会」の出会いに感謝しつつ、茶会や教室を楽しんでもらうことに喜びを感じる岩谷氏は、長きに渡り茶道一筋で裏千家流茶道を支え、裏千家の指導者として小松市の茶道の普及に大きく貢献されています。
多田 眞氏

多田氏は、昭和58年に第19代本光寺住職に就任以来、寺の建て替えをはじめ、平成11年には現在の合葬墓の先駆けとなる散骨式の総墓を建碑するなど、住職として様々なお寺改革を実行する傍ら、平成8年には北陸大谷学園理事長に就任し、今日に至るまで生徒一人ひとりに寄り添った学校運営に尽力しています。
長きにわたり、現役の住職を務めながらも、ほぼ毎日学校(現:小松大谷高校)へ足を運び、教員との対話や生徒との出会いを大切にしてきました。そして、生徒との何気ない出会いから創設した「蓮華賞」。泥の中から綺麗な花を咲かせる蓮の花になぞらえて命名したこの賞は、顕著な成績がなくても自分のできることを頑張る生徒や、逆境にもめげずに日々努力を重ねる生徒へ「ただ一人だけの賞」として、自身の座右の銘でもある「他と比べず 自分らしく ベストを尽くす」と記したカードとともに贈っています。また、平成16年からは「やる気 根気 負けん気」の三つの気を記した直筆のメッセージカードを、希望する一年生一人ひとりに贈り、令和6年までに3,993名の生徒にエールを送っています。このように、他では真似のできない、私学ならではの独創性を活かした「大谷高校だからできること」を実践し、常に生徒の持つ個人の力を評価し続けています。
小松大谷高校は従来からスポーツ強豪校であり、特に野球部は、令和6年「第106回全国高校野球選手権大会」において並み居る強校を抑えてベスト16進出、令和7年の同大会にも2年連続4回目の出場を果たすなど、優秀な成績を収めています。そのような中で、氏は「文武両輪」を実現すべく教員・指導陣を一新し、現在は生徒自身が目標を持ち、進路に結びつく「探求学習」に力を注ぎ、中学生が魅力を感じる学校づくりを目指しています。そして、創立50周年を迎えた平成25年には新校舎を竣工し、快適な教育環境を実現するとともに、令和4年には民間企業との提携により、空き教室を活用したサテライトオフィスを設置し、生徒と企業が対話できる場を提供しています。
氏は、「寺はみんなが集う公共施設」という考えのもと、寺の塀を取り壊して造営したミニ公園を地元住民などに開放し「円満朝市」を開催するなど、日本海側の寺では初となるNPO法人「円満の会」を立ち上げ、地域とのコミュニケーションづくりとにぎわい創出にも寄与しています。そのほか、平成18年から令和5年まで「小松市菊花協会」の代表を務め、仲間との輪を大切にしながら菊花育成技術の向上と普及に努めました。氏のこれらの功績は、教育・地域振興の分野において、市の発展に大きく貢献しています。
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更新日:2025年11月04日