令和6年度受賞者の事績
山本 正之氏

山本氏は、幼少時代から実家の米づくりを兄弟とともに手伝いながら、昭和45年に株式会社小松製作所に入社されました。その折、職場の先輩から小松民謡会に誘われたことを機に民謡の世界へ足を踏み入れられました。
昭和51年に開催された第1回日本民謡協会北陸地区連合大会の青年部で優勝し、さらに部門ごとの優勝者同士の決定戦で総合優勝を果たしました。初出場での快挙に自身驚きながらも、この優勝をきっかけにさらに民謡の魅力に惹かれ、昭和52年には「民謡山本会」を発足されました。日々たゆまぬ努力で歌唱力を磨き上げられ、その後も数々のコンクールにおいて多くの賞を獲得されました。
石川県主催の石川・文化の翼では、昭和63年のシンガポール、平成5年のハワイ、平成8年のタイの3ヶ国にて公演を行い、平成28年の小松市議会台湾交流促進事業においては台湾公演を行うなど、日本民謡の魅力を海外にも広く発信してきました。
昭和後期には民謡ブームが到来し、いくつもの町内会へ出向いて多くの民謡の指導を行ってきました。現在は自宅教室のほか加賀市民謡会、福井県大野市へ出向いて指導されており、長きにわたり小松市の民謡のレベル向上、市民への民謡の普及・振興、担い手の育成に力を注いでおられます。
また、地域に眠る民謡の発掘と創作活動にも積極的に携わってこられました。特に氏の尽力により平成25年に復活された「加賀献木木遣り」は、平成27年開催の「全国植樹祭」をはじめ、両国国技館での日本民謡協会全国大会や東本願寺、台湾での文化交流でも披露され、小松の民謡の歴史を知っていただく貴重な機会となりました。
氏の主宰する民謡山本会には、お旅まつり、おっしょべまつり、小松文化の祭典リードこまつなど様々な小松市の行事において、たくさんの民謡をご披露いただいております。令和2年の市制施行80周年記念の際には、民謡「小松おどり」の制作に携わっていただき、納涼みよっさ夏まつりなどで親しまれています。さらに令和6年3月の北陸新幹線金沢・敦賀間竣工開業式においては、「曳山八基祝いの唄」をお披露目いただきました。
氏が大切にしている言葉は、人、物、自然すべてに対する「感謝と喜び」。「雨の日であっても前向きに。人生は楽しむもの。これからもずっと元気で唄い続けたい。」と優しさ溢れる笑顔で語っていただきました。
このように氏は、民謡の継承と文化の振興に大きく貢献されています。
寺島 浩氏
寺島氏は、教師として教鞭を執るかたわら、独自に宝生流の能楽を学び、仕舞や謡、さらには囃子の技術も磨かれました。また、自らの歌舞伎指導力を深めるために、積極的に実際の舞台を観察し、そこから直接学びを得るという弛まない自己研鑽を図りながら歌舞伎の指導の基礎を築かれました。
小松市中学校文化連盟が行う中学校古典教室の「勧進帳」上演においては、立上げの時に携わり、長年にわたり積み上げてきた豊富な知識と持ち前の技量、そして情熱が詰め込まれた指導は今日まで続いています。
また、「歌舞伎のまち」の主要事業の1つである「日本こども歌舞伎まつりin小松」では、平成11年の第1回から「勧進帳」の上演に関わり、中心的な役割を果たされ、こども歌舞伎の技術向上と普及に努められています。当初は、長唄囃子方の指導をされていましたが、中途より振付指導も行い、現在では歌舞伎「勧進帳」の総合的指導者として唯一無二の存在となっています。
加えて、平成22年には「歌舞伎のまち」のさらなる活性化を目的に設立した「こまつ歌舞伎未来塾」の指導方(「こまつ邦楽舞踊教室」代表)となり、長唄囃子方の後継者育成にも尽力され、継続的に子どもたちへ歌舞伎の指導を行っています。
氏は、歌舞伎の指導を通して本市の文化振興に大きく寄与するとともに、所作・技能のみならず礼儀作法や心得も含めた、日本の伝統文化のすばらしさを子どもたちへ伝えています。この伝統文化継承を通した教育は、子どもたちの情操教育に非常に重要な役割を果たしており、小松市の教育に多大な貢献をされています。「小松市といえば歌舞伎」と云われる所以は、氏を中心とする皆様方の日々の努力の賜物であります。
氏は子どもたちとの関わりを重視し、それぞれの特質や個性を最大限に活かすように努められ、情熱と愛情を込めて子供歌舞伎に取り組んでいます。また、歌舞伎の魅力は「観客と一体となって楽しめるところ」と語る氏は、自身も経験したその感覚を子どもたちへ伝えることを大切にし、日々指導にあたられています。
小松市の子供歌舞伎を次の世代に引き継ぐために、最前線でリーダーシップを発揮されている氏の貢献は、本市の教育と伝統芸能の発展に大いに影響を与えており、その業績は計り知れないものであります。
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更新日:2023年12月01日